便秘は、女性にとって身近であり、深刻な健康問題の一つです。何気ない日常生活の中で、突然やってくる不快な便秘は、生活の質を低下させる原因となります。
そこで今回は、女性の便秘の原因と、それに対する解消法について考えてみましょう。
便秘が起きている時にお腹の中で起きている事
便秘が起きている時、体の中ではどんな事が起きているのでしょうか?腸は食べ物が入ってくると、その刺激によって腸自ら動きを起こします。それは食べ物を前に押し出そうとする動きです。それを腸の蠕動(ぜんどう)運動と呼びます。
腸が正常な場合、これがしっかりと働いて食べ物を先に進めていく事ができます。しかしこの蠕動運動が止まってしまったり、鈍くなることで食べ物が腸の中に長く止まり、便秘になってしまうのです。
では腸の蠕動運動が止まってしまう原因は一体どんなことで起きるのでしょうか?次は、女性の便秘の原因について見ていきましょう。
女性の便秘の原因
女性に多い便秘の原因について以下のようなものがあります。ほとんどの便秘のケースで、原因は単独のものではなく、複数の原因が重なって起きています。それぞれひとつひとつ見ていきましょう。
ホルモンバランスの変動
女性の体は、月経周期、妊娠、更年期といったライフステージに応じてホルモンバランスが大きく変動します。特に以下のホルモンが便秘に影響を与えることが知られています。
プロゲステロン
プロゲステロンは月経周期の黄体期(排卵後から月経開始までの期間)に増加します。このホルモンは消化管の運動を抑制する作用があり、その結果として便が腸内に長く留まり、水分が吸収されすぎて硬くなり、便秘を引き起こすことがあります。
エストロゲン
エストロゲンもまた、便秘に影響を与えるホルモンです。エストロゲンは腸の動きを活発にする一方で、過剰な場合には逆に消化機能を低下させることがあります。月経周期によってエストロゲンの分泌量が変動するため、その変化が便秘の一因となることがあります。
更年期による影響
更年期とは女性が閉経に至る前後5年間のことを言い、更年期に入ると、エストロゲンの分泌が急激に減少します。このホルモンバランスの変化が便秘を引き起こすことがあります。
エストロゲンの分泌減少は、腸の動きが低下することがあります。また、プロゲステロンの分泌も低下するため、腸の動きが不安定になり、便秘が起こりやすくなります。
ストレスとライフスタイル
現代の女性は多忙な生活を送ることも多く、ストレスも便秘の原因の一つとなります。特に女性はストレスに対して感受性が強く、消化管の影響を受けやすい特徴があります。では、ストレスが消化管に与える影響について見てみましょう。
ストレスホルモン
ストレスを感じると、体内でコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されます。これらのホルモンは腸の動きを鈍らせ、便秘を引き起こす原因となります。きっかけは自律神経の交感神経の働きによるものであり、交感神経が強く働くとコルチゾールの分泌が促進され、腸の活動は止まってしまいます。
不規則なライフスタイル
不規則な生活リズムや食事時間の乱れも便秘を招く要因です。忙しい毎日を過ごしていると、食事を摂る時間が不規則になりがちであり、これが消化管のリズムを崩し、便秘を引き起こします。
食生活による影響
食事の内容や摂取量も便秘に大きく影響します。特に、以下のような食生活が便秘を引き起こしやすくします。
食物繊維の不足
食物繊維は便の量を増やし、腸の動きを促進する重要な栄養素です。しかし、現代の食生活では食物繊維が不足しがちです。特に野菜や果物をあまり摂らない食生活は便秘を引き起こしやすくします。
加工食品やグルテンの過剰摂取
加工食品や脂肪分の多い食事、グルテンを含む食材の摂取が多い場合、腸内の動きが鈍くなり便秘が引き起こされます。特にグルテンは腸の中で停滞する時間が長く、その結果腸内で発酵が進みスムーズな便通を妨げる原因となります。
水分不足
水分は消化器官の正常な働きを維持し、便の排出を助けますが、水分が不足すると、便が硬くなり、排出が困難になります。特にコーヒーやアルコールなど、利尿作用のある飲み物を多く摂ると、体内の水分が失われやすくなり、便秘を引き起こしやすくなります。
1日に推奨される水分摂取量を意識し、こまめな水分補給を心がけましょう。
運動不足
運動は腸の動きを活発にするため、適度な運動は便秘の予防に効果的です。しかし、デスクワークや家事育児に追われる女性は、十分な運動を取ることが難しいかもしれません。また、女性は筋肉量が少ないため、運動不足による影響を受けやすいと言えます。
適度な運動は腸の働きを活発にし、便秘解消に役立ちます。ウォーキングやストレッチなど、日常生活に取り入れやすい運動を試してみましょう。
薬の副作用
女性は生理痛や生理不順などの症状で薬を服用することがありますが、その副作用として便秘が起こることがあります。特に以下の薬剤は便秘を引き起こしやすいことで知られています。
鉄剤
貧血治療のために鉄剤を服用している女性は少なくありませんが、鉄剤の副作用として便秘が生じることがあります。鉄分は腸内での水分吸収を増加させ、便を硬くすることがあります。
抗うつ薬
抗うつ薬の一部には、腸の動きを抑制する作用があり、便秘を引き起こすことがあります。精神的な不調から抗うつ薬を服用している場合、便秘が副作用として現れることがあるため注意が必要です。
鎮痛剤
オピオイド系鎮痛剤は、強い鎮痛効果を持つため、慢性疼痛や急性の激しい痛みの緩和のためによく使用されています。しかし、これらの薬は消化管に副作用を引き起こすことがあります。
オピオイドという成分が腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑制し、食物や便が腸内を移動する速度が遅くなります。また腸液の分泌を減少させるため、便が硬くなりやすくなります。そして肛門括約筋の緊張を高めて、排便を困難にします。
薬の副作用は便秘を引き起こす可能性が高いです。薬を服用する際は、副作用について医師や薬剤師に相談しましょう。
妊娠による影響
妊娠中の女性は、ホルモンバランスの変化や胎児の成長による腸の圧迫などで便秘を経験しやすくなります。
ホルモンの影響
妊娠中はプロゲステロンの分泌が増加し、腸の動きが抑制されるため、便秘が起こりやすくなります。また、エストロゲンの増加も便秘の一因となることがあります。
胎児による圧迫
妊娠が進むにつれて胎児が大きくなり、腸を圧迫するため、便の通過が困難になることがあります。特に妊娠後期になると、より圧迫が強くなり、これが原因で便秘が深刻化することがあります。
腸の落下
慢性の便秘でお悩みの女性の多くに、腸が落下している人が多くいます。腸の落下とは、本来お腹の中心あたりにある腸が、下腹部に落ち込んでしまうという現象です。体型の特徴でもよく分かり、下腹部だけが出てしまうぽっこりお腹になってしまいます。
腸の落下が起きると、腸に圧迫のストレスがかかり、食べ物を前に送り出せなくなります。このような方が、下剤の服用や食物繊維の摂取を積極的に行うことで、逆にお腹の張りや便秘がひどくなってしまう可能性があるため、注意が必要です。
自分が腸落下の可能性があるか、以下の項目でセルフチェックしてみましょう。
1 | 子供の頃から便秘気味だった |
2 | 腹痛を伴う便秘になった事がある |
3 | 硬い便に続いて、下痢や軟便になる事がある |
4 | 運動量が減ると便秘になる |
5 | 食物繊維が多い食品を取るとなぜか便秘になる |
6 | 太っていないのに、下腹部だけがぽっこりしている |
便秘の解消するために日常生活でできる対策とは?
女性の便秘を解消するためには、以下のような対策が有効です。
バランスの取れた食事:加工食品や油物、グルテンを含んだ食品は控え、水溶性食物繊維や発酵食品、水分を十分に摂取し、腸の働きをサポートする食事を心がけましょう。
ストレス管理:ストレスを軽減するために、リラックスする時間を作り、ストレスを溜めないようにしましょう。
適度な運動:日常生活に適した運動(ウォーキングやジョギング、ヨガやストレッチなど)を取り入れ、普段から腸の動きを活発にすることで便秘を解消しましょう。
水分補給:十分な水分摂取を心がけ、腸内の環境を整えることで便秘を改善します。特に女性の方は水分摂取が少ない傾向にあります。常日頃からペットボトルを持ち歩き、こまめに水分補給を行いましょう。
薬の適切な使用:薬を服用する際は、副作用に注意する事が大切です。医師や薬剤師に処方された薬の副作用について相談してみましょう。
それでもダメな場合は「腸の整体」を試してみましょう!
自分で対策をしても、便秘が解消しない方は、その原因を専門家に見てもらいましょう。交感神経が高ぶって、腸が動かなくなっていたり、腸が落下していると、ご自身での腸活ケアでは限界がある場合があります。
その場合一度、専門家に相談の上、腸の整体を受けてみられる事をおすすめします。
まとめ
このように女性の便秘の原因は非常に多岐にわたり、ホルモンバランスの変動、ストレス、ライフスタイル、食生活、運動不足、薬の副作用、妊娠、更年期、腸の落下など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
便秘は女性にとって身近なトラブルですが、お腹が張ったり、お腹が苦しくなったり不快な症状となります。また、便が長時間体内に居座ることで、毒素が体に回り、原因不明の体調不良に陥ってしまうため、できるだけ早くに解決する事が望ましいです。。
便秘を予防するためには、これらの原因をしっかりと理解して、行動することが重要です。自分で原因が分からない場合は、無理せず専門家に相談しましょう。健康な腸内環境を維持し、快適な生活を送りましょう。
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