リンパマッサージは、現代の忙しい生活におけるストレス解消法や美容効果の期待などで注目されています。しかし、リンパマッサージの効果は単なるリラクゼーションにとどまりません。
実はリンパマッサージはもともと医療の一環として開発された技術なのです。しかし残念ながら、日本ではそうした背景が理解されずに、曖昧なまま行われているのが現状です。
リンパシステムは私たちの健康に深く関わっており、正しくリンパマッサージをすることで、様々な健康効果を得ることができます。
この記事では、リンパとは何か、リンパ節の役割、リンパ循環の重要性、浮腫(むくみ)の原因、リンパを流す必要性とその効果について詳しく解説します。
目次
リンパとは何か?
リンパとは、正式にはリンパ液と呼ばれ、無色透明の体液で、血液(静脈)と同様に体内を循環しています。リンパ液は、主に組織間液(細胞と細胞の間を満たしている液体)から成り、タンパク質、老廃物、ウイルス、細菌などを運び出します。リンパ液は、リンパ管と呼ばれる特殊な管を通って体中を巡ります。
簡単にいうと、細胞から出た老廃物や、体内に入ってきたウイルスなどを、リンパ系という経路で無毒化して、最終的に静脈に返す流れがあるのです。
例えていうと、ごみ収集車が家の前に出してあるゴミを積んで、ゴミ処理場まで運んでくれるのと似ています。これによって常に細胞から出た老廃物はリンパ液が運んでくれるために、細胞はきれいな状態を保てます。
リンパ節とは何か?
リンパ節は、リンパ管に沿って存在する小さな豆状の器官で、体内に約600~700個存在します。リンパ管が列車の線路だとしたら、リンパ節は駅に例えられます。
リンパ節は、リンパ液がそこを通過する過程でろ過が行われ、異物や病原体を除去する役割を果たします。リンパ節には白血球が多く存在し、そこで異物を捕捉し、破壊することで感染症の防御にも大きく関係しています。
リンパ循環の仕組みをわかりやすく解説
多くの人は、血液循環についてはある程度理解しているとは思いますが、リンパ循環については、いまいちよく分からないのではないでしょうか?
ここまでリンパ液とリンパ節について説明しましたが、これからは全体のシステムである、リンパ系の循環の仕組みについて詳しくお話しします。
まず血液循環は、血管の中の血液、つまり動脈血によって酸素を各器官に運び、二酸化炭素を静脈血によって回収するという流れになります。
これに対してリンパ循環は、静脈血で回収しきれない、二酸化炭素以外の細胞から出た代謝産物(老廃物)、ウイルスなどをリンパ液として回収し、運び出す経路になります。
これを上下水道で例えるなら、リンパ系は下水道になります。細胞から出た不要なものや、体に害になるものが、リンパ液には含まれ、途中いくつも点在する、下水処理場にてそれが無毒化され、血液循環の静脈血へと合流します。
なぜ浮腫(むくみ)が起きてしまうのか?
浮腫(むくみ)は、リンパ液が適切に流れず、皮下組織に過剰に溜まることによって引き起こされます。これは、リンパ管の閉塞や悪姿勢によるリンパ管の圧迫、損傷、またはリンパ液の生成過多が原因となることがあります。
むくみは、手足や顔の腫れ、皮膚の緊張感、痛みなどの症状を引き起こし、日常生活に支障をきたすことがあります。むくみが慢性化すると、体内に老廃物が溜まっていき、体がだるいなどの倦怠感が起きやすくなります。
また、リンパ節でウイルスを効率的に処理できなくなるため、免疫力の低下につながり、ウイルス感染を引き起こしやすくなります。
リンパマッサージとは?
リンパマッサージとは、体内を流れるリンパ液に流れに沿ってマッサージを行い、リンパ液の流れを促進する施術のことを言います。
リンパ液には、皮膚のすぐ下の皮下組織を流れる浅層リンパと、静脈と並行して流れる深層リンパの2つがありますが、そのどちらも流すことで、リンパ本来の流れを取り戻すことができます。
よってリンパマッサージは、皮膚表面を軽くさするような手技と、筋肉や内臓の奥まで深く入り込んで行う手技を使い分けて行います。
リンパを流すことでどのような効果が得られるのか?
リンパマッサージによってリンパの流れを改善すると、以下のような効果が期待できます。
免疫機能の向上
リンパ液の中にはリンパ球という免疫細胞が存在します。
リンパの流れが良くなることで、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージなどの免疫細胞が活性化し、体内の異物や病原体の除去が促進され、免疫システムの効率が向上します。
これにより、感染症に対する抵抗力が高まり、風邪をひきにくくなったり、健康を維持しやすくなります。
浮腫(むくみ)の軽減
デスクワークなどで、長く座っていると、どうしても足がむくんでしまい、靴下の跡ができたり、靴が履けなくなったりと足がパンパンに重くなってしまうことがあります。また、朝起きると顔が腫れぼったく、瞼も重くなっていたりします。
リンパマッサージは、このようなむくみに対してとても効果的で、リンパ液の滞りを解消し、むくみの改善に効果的です。顔や手足の腫れ、体全体の重だるさが軽減され、動きやすくなります。
デトックス効果
リンパは、上下水道に例えると下水の役割をするとお話ししましたが、健康な体を維持するためには、老廃物の含んだ液体はできるだけ早く流して、体の外に出してあげる必要があります。
リンパの流れを改善することによって、体内に蓄積された老廃物や毒素を効果的に排出する、デトックス効果が期待できます。これにより、体の内側から綺麗になり、美容と健康をサポートします。
アンチエイジング
老化現象は、お肌のシワやハリがなくなったりと、見た目の変化を伴います。一方、体内ではどのようなことが起こっているかというと、リンパ液の停滞によって、細胞の周りには老廃物が溜まり始めます。
例えば、家の前にゴミを置いていても、ゴミ収集車は一向に来ず、どんどん玄関先にゴミが溜まっていくと、次第に玄関の扉が開かなくなって、必要なものが入らなくなります。これは皮膚のターンオーバーにも悪影響を及ぼします。
このようにリンパ液は、細胞に必要な酸素や栄養素を効率よく運ぶ役目をしているため、リンパの流れを良くして、老廃物を除去し、いつも新鮮な空気や栄養素を届けることは、アンチエイジングに直結するというわけです。
リンパマッサージの失敗しないサロンの選び方
リンパマッサージは、一見簡単そうに見えるかもしれませんが、正しい技術と知識が必要です。訓練されたセラピストにお願いすることで、体調改善をはじめ、思いもよらない体の変化を得ることができます。
しかし、その際に注意すべきはサロン選びです。そこでリンパマッサージをお願いする際に、失敗しないサロン選びのコツをお教えします。
小規模のプライベートサロン
これはあくまで私の意見ですが、大箱のサロンよりも小規模で運営されているサロンの方が、技術面で安心できる傾向があります。
大箱のサロンは運営上どうしても、個別に技術研修をできるわけではなく、スタッフによって技術に差が生まれてしまうからです。
知識面と技術面の両輪で安全かつ効果的な施術
リンパマッサージをする上で、解剖学やリンパシステムに関する深い知識を持っていることはかなり重要です。また、適切な圧力や手技を用いて安全にマッサージを行う技術も重要です。
リンパマッサージはなんとなく全身を行うよりも、リンパ管の圧迫箇所を瞬時に見つけて集中的に行う方が、圧倒的に結果に差が出ます。効果的にリンパの流れを促進することができれば、最大限の効果を得ることができます。
個別のニーズに対応してもらえるか?
個々の健康状態やニーズに応じた施術を提供できるか?これも重要な判断基準になります。
例えば、特定の部位に浮腫が集中している場合や、慢性的な痛みを抱えている場合などは、セラピストに詳しくその状況を説明してください。
個別の状況に合わせてアプローチが可能なセラピストは、安心して施術を任せられます。
これらはネットのポータルサイトやホームページでは収集できない情報です。実際にメールや電話で、積極的にサロンに質問をしてみましょう。
親身になって快く答えを返してくれるところは、技術に関しても熱心に勉強されている人が多く、私の経験から良いサロンの可能性はとても高いと思います。
まとめ
リンパマッサージは、健康と美容に大きな効果を出してくれる施術です。良いセラピストに出会えれば、その効果は絶大です。
リンパマッサージは基本的に危険な手技ではないので、ぜひいろんなサロンに足を運んでみてください。そしてお気に入りのサロンを見つけていただければと思います。
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